本棚の奥から、昔むかし詠んだ俳句が出てきました。
もう50年も前のものです。
病の身で、四国88ヶ所お遍路をした時のものです。
当時のことを思い出し、涙が止まりませんでした。 いまこうして生きてあることに感謝しつつ・・・・
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深山の落葉杣人ある如し |
柿照りて阿波国の墓所みな見事 |
遍路の鈴遠ざかり行く蕎麦の花 |
暁の空より木犀にほひだす |
落ち葉蹴り老抜く下山の若き脚 |
竜馬黙す銅像秋の潮鳴りを |
朱萸の種赤きを秋の海に吐く |
他者は美と見る稲の多段干し |
秋暑し土佐路に魚臭遁れ得ず |
峠越せば干し唐黍に埋もる里 |
遠く来て花野に酔うも旅半ば |
渓若葉閃緑岸壁濡る面河 |
枯蟷螂懸けて蜘蛛の囲しぐるるよ |
葉を丸め北風に耐えんと桐必死 |
紫蘇揉みつ母は袷の色と言う |
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